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清境霧の上の桃源郷
撰文/李珮琪      

まもなく盛夏を迎える台湾。この時期の台湾を訪れるのは、少し勇気が必要だ。まぶしい太陽の光が心の奥まで明るく照らしてくれる一方で、暑さに負けてしまう人も少なくない。南国の太陽は感じたいが、夏バテが不安。そんな方におすすめなのがここ、南投県の清境だ。

 



牧歌的な風景 と星空の冒険
清境は標高1600~2100メートルに位置し、古来「霧の上の桃源郷」と呼ばれてきた。地形や景色の変化に富み、放牧に最適なみずみずしい草原もあれば、合歓山のように登山に適した高山もある。草原では羊がのんびりと飼育されており、牧歌的な風景が広がっている。「東洋のスイス」とも呼ばれる風景である。ここでは羊たちと戯れることができるほか、羊毛刈りの実演も見られる。達人たちの熟練した技は見物である。豊かな自然風景に包まれて、無垢な眼の子羊たちと触れ合えば、きっと心が洗われることだろう。
清境にある「寿山園」は原生植物の宝庫であり、多様な生態系を観察できる。園内には桜、楓、銀杏などが植えられており、四季折々、色とりどりの花々を堪能できる。また、蝶コーナーもあり、バタフライロードを歩きながら、鮮やかな色彩の蝶の舞を楽しむことができる。都市のネオンとは無縁の地。寿山園から見上げる夜空には、際限なく星が広がる。夜風に吹かれながら見るその光景は、思わず時の流れを忘れてしまうほど美しい。


清境の 歴史とエスニック料理
清境農場の経営は、台湾、そして中国の近代史と密接な関係がある。簡単に説明すると、1960年代の初め、中国の政局の動乱により、雲南、ビルマ、タイ、ラオスの境をさまよっていた人々が台湾に渡り、この地に移住してきたことから始まる。こうして持ち込まれた各地の食文化と台湾の風土とが融合して、独自の食文化が形成されるようになった。
酸味と辛味が調和する擺夷(=雲南のタイ族)料理は、既に清境の特産料理として定着している。豚のひき肉に唐辛子や雲南の調味料を合わせて作った「錦洒」、豚の頭をスライスして雲南風に甘酸っぱく調味した「雲南大薄片」、「スーラー魚」などが人気のメニュー。清境を訪れならば、ぜひ試してみたい味覚だ。


桃源郷を 散策
清境の多彩な風景を満喫するには、歩道を北から南へと散策するのがおすすめ。青青草原から国民賓館の間には「観山歩道」、「歩歩高升」、「落日」、「柳杉」などの歩道が設けられている。各歩道は山、雪、花、湖などから成る絶景スポットとつながっている。
歩道からの風景を楽しみながら、ひんやりと心地よい空気を胸一杯に吸い込めば、きっと心身共にリフレッシュできるだろう。台湾の夏、コバルトブルーの空が続く「桃源郷」があなたを待っている。